2009年1月2日金曜日

「チェチェンへ アレクサンドラの旅」を観…

渋谷のユーロスペースで、アレクサンドル・ソクーロフ監督の「チェチェンへ アレクサンドラの旅」を観た。

チェチェン紛争の戦闘地域で軍務につく孫を、祖母が訪ねる、という舞台設定。
ソクーロフの作品を観たのは、数年前の「太陽」から2作目。静かな、素朴な映画を撮る人だな、という印象。

それにしても本編前の予告編で出てきた映画のことごとくが恋愛をテーマとしたものであることには、ちょっと感心を覚えた。なぜかくもこのテーマが選ばれるのか。

考えてみたら映画だけではない。こうした作品──いわゆる「芸術」から「商品」まで──は、何をしていることになるのだろうか。とても一鑑賞者──ふつうの人には体験できないドラマを役者に体験させることで何か良い気分にさせるのか? それともいつかはその人も実行に移すべき行動のモデルを提供している──いわば「恋愛」の指南をしているのか? それともそれとも、「ほら、ご覧なさい、みんなこうして恋をするものだし、人を愛するものなんですよ、ところがあなたときたら」といった具合に圧力をかけているのか。このテーマの作品がこの世にあふれている限り、人類共同体の未来は安泰ということなのだろうか…。何にしても苦笑ものであった。


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