2009年2月2日月曜日

「解雇」では退職金が払われるから…論のおそろしさ

相撲協会の大麻問題で、大麻所持容疑で逮捕された関取の処分について、連日、「解雇」では退職金が払われるからあくまでも「除名」に、とか、今回のように犯罪を犯したものを解雇する場合に退職金の支払いをしないよう規定を変更しようとか、そういう「議論」がある、ということが報じられていた。

これがマスコミがなかば創作した「議論」ではなく、すくなくともあるレベルでの真実であるならば、どうしようもなく自己破滅的な議論である。
処分される人間の地位が高く、また経済的にも十分な生活を送っているから、この上退職金を払わない、というのならばまだわかる。
しかしスポーツ選手である。そして社会的後ろ盾としてはまったく唯一のものである相撲協会から解雇されるのである。いったい、彼はどのように更正したらよいというのだろうか? 社会的なものも含めてあらゆる資本を失った人間にできることといったら、限られている。
ようするに厳罰化──法的にも社会的にも──の行き着くところは、さらなる犯罪の増加、そして「異分子」として“われわれ”が排除したところの人びとの増加しか呼ばないことは、当然予測されるべき自体である。

実際、こうした事例に限らず、「犯罪者」が法廷の外であらかじめ、そして半永久的に裁かれてしまうということは、マスメディアを通じて「当然のこと」とされているけれども、これは大変な問題である。

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