2008年11月6日木曜日

道新2008年10月26日──旭川の「ユクオプニカ」の儀式

北海道新聞,2008年10月26日(日),日刊,1面
シカノ魂 神の国へ 旭川


10月25日は,エゾシカ猟解禁の日であったという.
これにあわせて,「仕留めたエゾシカの魂を神々の国に送るアイヌ民族の儀式『ユクオプニカ』が…カムイの杜公園のササぶきのチセ(家)で始まった」.

(よくアイヌ民族の精神文化のひとつにアニミズムがあり,アニミズムは万物に神が宿るとする信仰・世界観である,というような説明がなされる.そもそもカムイをすなわち神として良いのかよくわからないが,それはともかく実際には,「万物に」というのは明らかにオーバーで,「神」格を認められていないモノは彼らの伝統社会においてもしばしば身近に見いだされるようである.鹿もそうであるが,サケも──近世のアイヌ民族社会の表象とまことに深い関係にある──カムイとは見なされていなかったようである.「エゾシカの魂を神々の国に送る」というのはしたがって「クマをカムイモシリに送る」というのとはおそらくまったく意味が違う.)

「この儀式はあまり知られていないが,江戸時代の絵に描かれており,同支部〔ウタリ協会上川支部〕はアイヌ文化研究者らの助言を得ながら進めた」との由.

(「知られていない」というのはおそらくウタリ協会──そしてとくにこの儀式をこのたび執り行った人びとには,ということなのであろうけれど,判然としない.文化の再創造の事例か.)


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