2008年11月6日木曜日

道新2008年11月1日──旭川市博物館がリニューアル

北海道新聞,2008年11月1日,夕刊,1面
アイヌ民族の展示一新 旭川市立博物館 交易盛んな暮らし紹介


11月1日,旭川市博物館が「『交易・生産の民としてのアイヌ民族の歴史』をテーマに関係展示を大幅に充実して一新し,リニューアルオープンした」.

「狩猟採集の自給自足でなく,交易を前提とした生活を伝える新展示」というところで,ピンときたのだけれど,記事によれば『アイヌの歴史―海と宝のノマド (講談社選書メチエ 401)』の著者である瀬川拓郎氏は同博物館の学芸員であるそうだ.「狩猟採集」,「格差のない社会」,「自然との共生」といったキーワードによって理想化された──あるいはそうしたキーワードをほとんど一身に背負わされた──アイヌ民族の歴史の通俗的でたいへん普及している理解にたいする挑戦である.

瀬川氏が指摘するのは,こうした一般にひろく流布した理解が,アイヌ民族の伝統社会のある一面を強調しすぎているという問題ではなく/それどころか,こうした理解が文字通り誤ったものなのではないか,ということである.すなわち環オホーツク社会や本州社会との接触のなかで,アイヌ社会は(氏が「アイヌ・エコシステム」と呼ぶ)交易産品の生産に社会生活の重点を置くものとして成立してきたのではないか,と.


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