祖父母や父母、子どもなどが同居する大家族で暮らしたい人が60%に上ることが、本社加盟の日本世論調査会が9月20、21日に実施した「家族」に関する全国面接世論調査で分かった。「仕事より家族の幸せを優先」という答えも「どちらかといえば-」を合わせ81%に達するなど、世代を問わず強い家族志向が浮き彫りになった。この記事を読んでまず気になるところは、回答の比率をしめすのにしばしば「どちらかといえば─を含めると」と言っていること。
そもそも「どちらかといえば~」以外にどんな選択肢があったのか(これは調査の結果に影響しないわけもないので気になるところ)が記されていないし、そんな大雑把な分析(新聞記事用とはいえ)ですませてしまうのだったら、そもそも「どちらかといえば~」などというのは、回答者の自由・勝手な回答を封殺するための予防線でしかないわけである。
また、
自分の家族のタイプを聞くと、「祖父や父が大黒柱」の“前近代型”が14%、「父は仕事、母は家庭」の“近代型”が34%、「夫婦も親子も何でもよく話し 合う」という“友達型”が31%、「個人として互いに過度に干渉しない」という“自立型”が19%と分散。今の自分の家族に「満足している」「どちらかと いえば満足している」は計91%だった。というのも何だかおかしな部分で、「前近代型」などのおそるべきステレオタイプはもちろんアレだけれど、その上4つの「家族のタイプ」が明らかに対等なカテゴリではないのである。
「祖父や父が大黒柱」というのはイエ制度の問題で、「父は仕事、母は家庭」は性別分業の問題である。
「夫婦も親子も何でもよく話し 合う」というのはもちろん家庭内コミュニケーションの問題で、「個人として互いに過度に干渉しない」というのは、これは個人の態度の問題である。
このような分類法(?)は、なるほど「世論」としてはありうることで、“社会を測る科学的な指標としては無意味ですが、社会を測る科学の研究の対象とするならばおもしろいですね”(論理的には不自然な分類法を「われわれ」は自然に受け入れている)、という一段高次のレベルでこの調査結果を見ていくならばいいのですが、どうもこの記事はそんな雰囲気ではありません。
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