2008年10月21日火曜日

ロイター.co.jpの恣意的な社会調査

これはそもそも「社会調査」とか「世論調査」という範疇に入らない可能性も高いけれども,今,ロイター.co.jpのウェブサイトで右のような,オンライン調査を行っている.

以前は,次期首相の投票をやっていたように記憶している.
すくなくともその時には「その他」というような選択肢があった.

しかし今回の調査には,選択肢は2つしかない.「米国による〔北朝鮮に対するテロ支援国家指定の〕解除は適切でない」もしくは「6カ国協議など対話を進める上では仕方がない」

社会学的には,無回答や,「わからない」,「選択肢にない」,「その他」といった回答や選択肢の存在は非常に重要なものであることが,指摘されている.

質問や質問の回答の選択肢というものは,しばしばそれを作成した人びとの利害なり関心なり目的なりを反映するからであるし,またある種の質問に答えられる──つまり質問や用意された選択肢を理解し選択できるとか,自由回答で「自分の意見」を述べることができるとか──ということは,実は回答者の社会階層に依存する傾向がある.

しかしながらこの調査の選択肢はすでに述べたとおりである.もっとも選択肢うんぬん以前に,質問文中で「日本では拉致問題への影響を懸念する声も。」と,まさにその調査の回答の一例とおぼしき「人の意見」を事前に示すなど,もってのほか,完全に論外事ではある.

そうした技術的な稚拙さはわきに置くとしても,ウェブサイトの訪問者──しかも特定のニュース記事の訪問者──にそれを調査への参加をうながすという方法自体が,まったく調査の調査としての存在価値を無化してしまっている.

対象者は無作為に選ばれたわけではなく,むしろ(そこに人間は介在しないが)あきらかに恣意的に選ばれており,サンプルとなった回答者の「母集団」は完全に不明である.この調査ではもちろん「無回答」は集計していないが,かりに調査に答えずページを去ったということを「無回答」として集計に入れるとしても,その「無回答」は,調査の質問に対する「無回答」なのか,そもそも調査に気づいていない,気づいているがまともに読んでおらず答えていないという意味のものなのか,一切判別はつかないのである.


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